前回に引き続き、今回もNPMについて書いていくことにする。


NPM(New Public Management)の時代背景


元々、イギリスから始まった考え方。

1860年代に世界的に高度経済成長していた中、先進諸国の行政サービスの範囲と規模は、自然に増加の一途を辿っていた。

しかし、1970年代の第一次・第二次石油危機に直面し、先進諸国のどの国も、財政危機に直面するに至ったのである。


その後1980年代には、行政活動の範囲を見直し、縮小経営を目指すようになっていった。


イギリスのサッチャー政権による改革(サッチャーリズム)は、その後同じ保守党のメージャー首相に引き継がれることになったのだが、改革は「次の段階」へと発展していったのである。


すなわち、規制緩和と民営化による市場メカニズムの活用路線に加え、行政活動における企画と実施を分離し、実施業務を担当するエージェンシーの人事管理及び財務管理の自立性を強めるとともに、業績目標を『市民憲章』に定め、その達成状況を業績測定する新たな評価システムの確立を目指すようになった。



この影響が日本にも波及し、平成13(2001)年1月から施行された国の中央省庁再編の際の、日本版エージェンシーとして独立行政法人制度の創設が決められ、全省庁に政策評価システムの実施が義務付けられたのである。



すなわち一言で言うと、


『行政権の肥大化に伴い増加する支出を削減し、より効率の良い行政システムを再構築するために、民間の競争原理を採用していくことによって、自治体の自立性を強化することを目指そう』


とするものなのである。



ちなみに、それのどこに行政書士試験との関連性があるのかと言う疑問を持つ人もいるかもしれないので、念のため以下に書いておく。


行政書士試験の一般教養、社会時事問題等は、こういった現代の行政政策等の方針を踏まえて、単なる予想問題的な予備校でのやまかけの詰め込み学習ではなく、実際の政治経済時事問題に関してより興味を持って臨んでいくことによって、自然に社会全体の流れがつかめていくものである。


それが最終的には試験範囲の把握しきれない一般教養問題対策にもつながっていくものであるし、こういった視点で勉強することにより、実際の過去問から見ても分かることなのだが、次回の出題予想ができてくると言うものである。


そういった訓練をしていくことによって、最終的には予備校から与えられた出題予想だけではなく、自分自身の視点からの出題予想も出来るようになっていくのである。



次回はNPMについての具体的内容を書いていくことにする。